ラジオの愉しみ

私は小学校を卒業したあと親元を離れて下宿生活をしていた。
もともと小学生のころからほとんどテレビを見ることはなかったのだが、下宿生活になると今度はテレビそのものがなかった。
その代わり、ほとんど毎日ラジオを聴いていた。
土曜日は中学校が終わると私は一目散に走って帰ってきてラジオのスイッチを入れる。
当時は米軍向けの極東放送でケーシー・ケイスン?の「アメリカン・トップ40」を聴くのが楽しみだった。
日本と違ってアメリカの歌謡界はけた違いに曲数が多く、その分ヒットチャートを勝ち上がってくる曲は、まずもって「はずれ」はなかった。
ロバータ・フラックやカーペンターズやウイングスの曲などを、来週は何位になっているだろうという素人予想をしながら聞き入ったものである。
そして、年末にはトップ100だったか400だったかを延々と聴いていたものである。
当時はビルボードとキャッシュボックスがアメリカン・ポップスの人気順位を公表していたが、毎週土曜日の聖教新聞にキャッシュボックスのトップ10が掲載されていて、私は律儀にそれを切り抜いていた。
おそらく日本で一番早くアメリカン・ポップスのランキングを掲載していたのではなかったかと思う。
振り返ってみれば若者文化もずいぶん変ってしまった。
ラジオを聴くのが若者だった時代はとうに過ぎ去ってしまったようだ。
音楽と言えば、インターネット経由でダウンロードして聴く時代になってしまった。
それでも今でもどこかでアメリカン・ポップスを密かに楽しんでいる若者がいるのだろうか。